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咳喘息


咳喘息とは

咳喘息とは、多くの方が「喘息」として認識している気管支喘息とは異なる喘息です。
いわゆる気管支喘息の場合、肺から痰が絡むような音や何かが引っかかっているかのような音が特徴ですが、咳喘息にはありません。
咳が数週間から数か月程度続き、軽い咳が続くだけの方もいれば、その後激しい咳に変化するケースも見受けられます。
また、咳喘息から気管支喘息へと移行する場合もあります。
咳喘息だけの厳密な統計はありませんが、増加傾向にあるとされています。
統計が無い理由としては、咳喘息を「咳喘息」だと認識し、治療を受ける患者が少ない点が挙げられます。
気管支喘息の場合、すぐに異変を感じることで診療を受けます。
そのため、厚生労働省の調査では国内におよそ450万人、小児の6%、成人の3%との統計があります。
また、世界に目を向けると、現在、およそ3億人の気管支喘息患者がいますが、2025年にはさらに1億人増えるとの予測もあります。
気管支喘息の増加を踏まえると、咳喘息も増加していると予想されますが、咳喘息に関してはデータがありません。

咳喘息の種類

咳喘息は主に二種類に分類できます。
一つはウィルスが入ることで粘膜に悪影響を及ぼす咳喘息で、もう一つは花粉やダニといった異物に対してのアレルギー反応によって、免疫機能をはたらかせてしまう咳喘息です。

原因

実は、咳喘息の原因はよく分かっていません。
患者の状態から、風邪の後に咳だけが残ってしまうことで咳喘息となったケースや、何となくイガイガして咳が出るだけで、体調そのものは全く問題ないケース、なぜ咳が出るのか分からないけど悩んでいるケースなど、原因の特定が難しい症状です。
咳喘息となるきっかけとしては、環境の変化を挙げる声もあります。
目に見えない粒子が喉に付着することで咳となります。
例えば、自動車やタバコの煙、花粉、ペット起因のアレルゲンなども咳喘息の原因として考えられています。
また、遺伝によってかかりやすくなるとの声もあります。
過去に小児喘息を患ったことがある患者や、喘息に悩んでいるご家族がいることで、咳喘息になってしまった患者も見かけますし、慢性的な気道の炎症によって気道が狭くなることで、咳が出やすくなることも分かってきています。

症状

咳喘息の症状は、咳が出るのみです。
気管支喘息の初期症状に近く、粘膜の炎症やアレルギー過敏性も軽度なため、咳以外の症状はみられません。
ただし、咳「だけ」が続きます。
就寝中に咳が出ることもありますが、咳だけではあっても日常生活に支障をきたすこともあります。
また、軽い刺激に反応することから、会話の最中に咳が出たり、大きく息をすったり、急に冷たい飲み物を飲んだ時など、喉に何らかの刺激を与えることで咳が出ることもあります。

検査および診断

基本的には問診です。
咳が続くものの、気管支喘息の症状がみられない場合は、咳喘息だと診断されます。
ただし、咳喘息の知名度は決して高くはないことから、咳喘息だと診断されないケースもあります。
そもそも咳喘息は病名ではあるものの、気管支喘息のような本格的な喘息とは一線を画すものです。
そのため、医療機関においても「病気」ではなく、「風邪の治りかけ」や「ちょっとした異変」程度と診断されてしまうこともあります。

治療

お伝えしたように、咳喘息は気管支喘息の初期症状に似ていますので、治療では気管支喘息に移行しないための治療を行います。
咳止め、アドエアー、シムビコートといった吸入薬、テオドール気管支拡張剤等による治療や、マスクの着用推奨の指導といった治療を行います。
ただし、医療機関によって治療方法は異なります。
気管支喘息の前触れとして丁重に扱う医療機関もあれば、さほど重要視せず、「いずれ改善する」といったスタンスの医療機関もあります。

注意点

治療のポイントとなるのは「喉に負担を与えない」です。
咳喘息は風邪や発熱はみられず、あくまでも咳だけが出る状態を指します。
つまり、喉に何らかの負担がかかっていることを意味します。
発熱由来であれば、発熱を抑えることで咳も沈静化しますが、発熱もなければだるさもない咳喘息では、他の症状を抑えることでの治療が難しいため、喉に負担を与えないことが大切になります。
そのためアレルギーを把握することも大切です。
アレルギーに反応して咳が出ているケースもありますので、患者のアレルギーを把握し、アレルギーに対して触れないよう気を付けることが大切です。
デオフィリンを服用している場合、カフェイン飲料での薬の内服は控えましょう。
嘔吐、頭痛、動機といった中毒症状のリスクがある点にも注意が必要です。
また、咳が続くようであれば自己判断せずに医療機関に相談しましょう。
咳喘息は気管支喘息へと発展してしまう可能性もあります。
咳だけであればいずれは治まるかもしれませんが、咳の原因が空咳ではなく他にある場合には、咳喘息以外の症状のリスクが懸念されます。
自己判断するのではなく、なぜ咳が出ているのか、他に懸念される症状はないのかなどを含めて、一度しっかりと診断してもらいましょう。

予防

咳喘息は原因が定かではないとお伝えしました。
そのため、予防としては咳が出ないよう留意することになります。
例えば、体調不良にならないための生活を送ることも、咳喘息の予防法の一つです。
風邪や発熱後、咳だけが残って咳喘息となるケースもありますので、風邪をひかないことや、発熱しない生活を心掛けることで咳喘息を予防できます。
また、喫煙は控えた方が良いでしょう。
ニコチンが気管支を収縮させることで、咳が出やすくなります。
ただし、喫煙者は咳喘息ではなく、気管支喘息のリスクがありますので、気管支喘息を含めた予防法として禁煙が有効です。
他にも、大量摂取によって気管支収縮となるアルコールを控えることや、自律神経を乱すことにより気管支に悪影響をもたらすストレスの緩和等も咳喘息の予防法の一つです。
また、これらの予防法に共通しているのは1日だけ実践して予防できるものではなく、継続することが求められる点です。
日々継続することで、咳喘息のリスクを低下させます。

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