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男性更年期障害


かつて更年期障害といえば、女性特有の症状と考えられていました。

しかし、近年、男性にも同じような症状がみられることから、男性更年期障害の存在が注目されるようになりました。

自覚が無かったものの、実は、男性更年期障害で悩んでいる男性も増えていますが、まだまだ男性更年期障害の存在を知らない方は、更年期障害で悩まされていることに気づくことができません。

しかし、決して自身で解決する病気ではなく、然るべき治療・処置が必要な病気です。

男性更年期障害とは

男性更年期障害とは、LOH症候群とも呼ばれており、女性の更年期障害に似た症状がみられます。
不安や倦怠感、不眠、記憶力やモチベーションの低下、集中力が散漫になるといった精神的な不調や頭痛や発汗といった症状、さらには不眠など、様々な不調がみられますが、これら全ての症状がみられるのではなく、個人差があります。

そのため、男性更年期障害は人それぞれにより異なります。
常に不安を抱くようになった方もいれば、なんとなく倦怠感に覆われている方、あるいは頭痛がちになったという方など、男性更年期障害は千差万別です。

男性更年期障害は自覚が難しい

男性更年期障害は先にもお伝えしたように近年注目を集めるようになった病気のため、知らない方も多くいます。
そのため、男性更年期障害ではあるものの、「男性更年期障害だ」と自覚できない方も多いです。

また、症状は日常生活の中でふとみられることもあります。
例えば、不安は誰もが抱くものですし、不眠や倦怠感も、時には襲われることがあります。
そのため、男性更年期障害は自覚が難しい病気で、「病院に行くほどじゃない」「そのうち治る」との思いから、放置してしまう方も多いです。
しかし、放置することでさらなる症状の悪化や、性機能障害、さらには他の病気などのリスクも高まりますので、男性更年期障害は放置するのではなく、医療機関への相談が望まれます。

原因

男性更年期障害の原因として考えられているのは男性ホルモンと自律神経ですが、それらに起因するのがストレスとされています。
ストレスによって男性ホルモンの分泌量が減少したり、あるいは自律神経を傷つけてしまうことで、男性更年期障害のリスクが高まります。
ストレスが原因ですが、男性ホルモンの減少と自律神経の乱れが男性更年期障害のリスクを高めます。

男性ホルモンの減少に伴う男性更年期障害リスク

男性ホルモンが減少することで生じる男性更年期障害は、ストレスだけではなく加齢や生活習慣も関係しています。
一般的に、男性ホルモンは40代以降から減少傾向にあります。
つまり、40代以降から男性更年期障害のリスクが高まることを意味します。

生活習慣の乱れによって、男性ホルモンを抑制する働きが脳より出されてしまう点も男性ホルモンの減少理由の一つです。
食生活や睡眠等によって脳が男性ホルモン抑制を促進し、結果、男性更年期障害リスクが高まります。
そのため、男性更年期障害の低年齢化も懸念されています。

実際、若年層でありながら男性更年期障害だと診断されるケースもあります。
「男性更年期障害」という名称から、壮年、あるいは高齢男性のみを対象にした病気だと思われる方も多いですが、若年層にとっても決して無縁の病気ではありません。
ただし、先にもお伝えしましたが男性更年期障害は個人差が顕著です。
そのため、男性ホルモンが減少したからといって必ずしも男性更年期障害になるとは限りません。

自律神経の乱れに伴う男性更年期障害リスク

男性ホルモンの減少、さらには不規則な生活によって自律神経が乱れることでも男性更年期障害リスクが高まります。
交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで自律神経が乱れ、自律神経が乱れることで倦怠感、集中力の低下、さらにはイライラ等の精神的な症状がみられるようになりますが、これらの症状はまさに男性更年期障害そのものです。

症状

男性更年期障害の症状は人それぞれだとお伝えしましたが、大きなカテゴリーとして、「身体的症状」「精神症状」「性機能障害」の3つに分類できます。

身体的症状をもたらす男性更年期障害

筋肉・関節に痛みを生じるようになるだけではなく、疲れが抜けにくくなることで疲労感、さらには常に疲れを感じていることでの倦怠感や、発汗、動悸なども身体的症状に分類されます。
また、筋力量の低下や体重減少がみられる一方で内臓脂肪の増加、さらには骨減少等もみられます。

体毛や皮膚に変化がみられる人もいるなど、身体的症状だけでも様々です。
さらに、これらの男性更年期障害の直接的な症状に起因する症状まで含めると、その範囲は膨大になります。
例えば、内臓脂肪が増加することで高血圧のリスクも高まりますし、筋力量の低下により怪我のしやすさに繋がる等、間接的に様々な症状・障害を引き起こすことにもなります。

精神症状をもたらす男性更年期障害

気持ちの面に影響を与える症状です。
ちょっとしたことでイライラしがちになったり、些細なことで不安を感じたり、また、集中力が散漫になったり不眠症になることもあります。
精神症状の難しい点は、日常生活の中でも感じることから、男性更年期障害だと判断することが難しい点です。

例えば、イライラしがちで、すぐに「男性更年期障害かも」と思うのは難しいことです。
不眠症や集中力が散漫になるのも同様です。
日常生活では決して珍しくはない症状のため、男性更年期障害だと自覚し、問題を解決しようと動くのは困難です。
そのため、これらの症状がみられても放置する人が少なくありません。
この点が男性更年期障害における精神症状の難しい点です。

性機能障害をもたらす男性更年期障害

勃起不全、性欲減退等の性機能障害をもたらすこともあります。
また、頻尿も見受けられます。
これは男性ホルモンの減少により、膀胱の柔軟性が損なわれてしまうことが原因です。
男性更年期障害の原因は男性ホルモンの減少も一因だとお伝えしましたが、男性ホルモンは男性の性機能を司るものです。
男性ホルモンが減少することで性機能に影響を及ぼすのは自然な道理ですが、この点に関しても自覚が難しいです。

性機能に関しては年齢と共に衰える傾向にあります。
そのため、こちらも「男性更年期障害だ」と自覚することが難しいです。
年齢に起因した機能低下だと自覚する方が多いことから、男性更年期障害だとは気付かず、放置したままにしてしまう方が多いです。

男性更年期障害に伴う併発リスクのある症状

男性ホルモンの減少や自律神経の乱れは、男性更年期障害だけではなく他の症状のリスクも高めます。
まず挙げられるのが生活習慣病です。
筋力の低下や脂肪の増加は新陳代謝の悪化を招きますので、糖尿病や高血圧といった生活習慣病のリスクを高めます。
また、自律神経は血行不良を招くこともありますので、血行不良に伴う動脈硬化、さらには脳卒中、心筋梗塞といった症状のリスクも懸念されます。
また、男性ホルモンの減少は認知機能の低下を招く懸念もあることから、認知症リスクも高まります。

検査・診断

男性更年期障害の検査・診断は問診と血液検査です。
問診によって不調を確認します。
どのような異変があるのかをみれば、ある程度、男性更年期障害であるかどうかを判断できますが、血液検査を行うことで男性ホルモンの分泌量を確認します。
男性ホルモンの量が年齢平均よりも著しく少量な場合や、前回検査時よりも低下が確認されている場合には男性更年期障害だと診断されます。

また、より詳しい検査を行う場合もあります。
その場合、脂質、糖代謝、赤血球や肝臓・腎臓機能も確認することで男性更年期障害なのかを総合的に判断します。
繰り返しになりますが、男性更年期障害は症状だけをみると、男性更年期障害だと確定させることが難しいです。
うつ病や生活習慣病などの可能性もありますので、より細かい検査を行うことで男性更年期障害なのか、あるいは同じような症状ではあるものの異なる病気なのか、より確かな結果を得ることができます。

治療

男性更年期障害は決して治らない病気ではなく、治療により改善が見込まれる病気です。
主な治療法としては生活療法、漢方、男性ホルモン補充療法、プラセンタ注射の4種類に分類できます。

生活療法

生活習慣の見直しによる治療で、主なメニューとして運動や食生活の見直しが挙げられます。
特に筋力トレーニングが取り入れられるケースが多いです。
理由としては、筋肉量が増加することで成長ホルモンや男性ホルモンの分泌が促進されるからです。
男性更年期障害の原因である男性ホルモンの減少を上手くカバーできることから取り入れられている治療法です。
また、目的は体を鍛えることではなく治療であり、成長ホルモン・男性ホルモンの分泌を促進するための手法になりますので、運動が苦手な方でも無理なく取り組めるよう配慮されたメニューが作成されます。

漢方薬

補中益気湯、八味地黄丸、十全大補湯、芍薬甘草湯、葛根湯 といった、テストステロンの増加が期待できる漢方薬を服用する治療です。
ただし、漢方は長期的な治療になります。
短期間で効果を期待するのではなく、無理なく長期的に服用することで徐々に体質の改善が期待できる治療法です。
そのため、他の治療と併せて漢方を服用したり、あるいは比較的軽度の男性更年期障害の患者向けの治療法になります。

男性ホルモン補充療法

繰り返しになりますが、男性更年期障害は男性ホルモンの減少が原因の一つですので、男性ホルモン補充療法により効果を期待することができます。
減った男性ホルモンを補充することで、男性更年期障害の改善が期待できます。
外部因子で男性ホルモンを増やすという点では漢方療法と同じですが、男性ホルモン補充療法の方がより効果を実感しやすいです。

定期的に男性ホルモンを注射し、男性ホルモンを補充すると共に、血液検査を行うことで男性ホルモンが増えているのかや、体に負担が生じていないのかなどもチェックします。
2013年のデータではありますが、アメリカではおよそ230万人が受けている治療法です。
ただし、前立腺がんや多血症、重度の前立せん肥大症等、既往歴によっては受けられませんので、一度相談し、自身にとって問題なく受けられる治療法なのかを確認する必要があります。

プラセンタ治療

こちらも基本的な考え方としてはホルモンを補充することで男性更年期障害の改善を期待できる治療法です。
女性の更年期障害では保険適応の治療法ですが、男性更年期障害の場合には保険が適応されません。

男性更年期障害の注意点

男性更年期障害は治療法も確立されているのですが、治療はもちろんですが、男性更年期障害と付き合うためには気を付けておくべき点があります。

男性更年期障害は人それぞれ

男性更年期障害は人それぞれだとお伝えしました。
そのため、治療の方法やスピード等も人それぞれです。
他人と比較するのではなく、あくまでも自分のペースで付き合うことが大切です。
他の人が効果が出た治療が必ずしも自分にも効果が出るとは限りませんし、逆も然りです。
他人と比較するのではなく、自分自身がどうすべきなのか、どうあるべきなのかを考えて男性更年期障害と向き合うことが大切です。

治療は長期的視点が大切

男性更年期障害の治療は、基本的には長期的な視点が求められます。
短期間で治療する病気ではないため、長期的治療が重要になりますので、短期的視点で「効いている」「効いていない」を判断するのではなく、長期的視野での治療を心掛けましょう。

些細なことでも相談する

男性更年期障害の症状は、先にも説明させていただいたように、他の病気と似たような症状がみられます。
そのため、すぐに男性更年期障害だと自覚することが難しい症状なので、治療に入った際には些細なことでも相談するようにしましょう。
男性更年期障害なのか、あるいは男性更年期障害とはまた別で発症しているのかで治療方針は大きく異なります。
自分自身で勝手に判断するのではなく、相談し正確な状況の把握を心掛けましょう。

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