スギ花粉症やダニアレルギーの根治治療として、舌下免疫療法があります。この治療法では、アレルギーの原因となる物質（アレルゲン）を含むエキスを舌の下に投与し、徐々に体内に吸収させることで、スギ花粉やダニによるアレルギー反応を和らげることができます。長期にわたり適切に治療を行うことで、アレルギー症状の緩和や、持続的な効果が期待できます。
スギ花粉症治療には「シダキュア」、ダニアレルギー治療には「ミティキュア」というお薬を服用します。

舌下免疫療法の利点と効果

舌下免疫療法の利点は、これまでの注射療法と比べて通院が少なくて済み、痛みもないため、患者にとって負担が軽減される点にあります。特に、以下のような方にお勧めです。
– 毎年スギ花粉症やダニアレルギーで薬を使用しても効果が見られない方
– 受験を控えた学生で、スギ花粉症やダニアレルギーが心配な方
– 将来的に妊娠を希望しており、薬の使用に不安を感じる方

期待できる効果としては、鼻水や鼻づまり、くしゃみの改善、涙目や目のかゆみの緩和、アレルギー治療薬の減量、生活の質の向上があります。

舌下免疫療法の注意点

少なくとも2年間（3年以上が望ましい）は毎日継続して服用する必要があります。即効性は期待できないこと、全体的には7～8割の患者にある程度の効果が見られるものの、全ての患者に効果が期待できるわけではないことが挙げられます。

また、スギ花粉によるアレルギーの場合は、6～12月頃から治療を開始します。花粉が飛ぶ可能性がある時期に始めるとアレルゲンの吸収量が過剰になるため副作用が現われやすいためです。
ダニによるアレルギーの場合は時期を問わずいつからでも治療を始められます。

治療の対象者

5歳以上65歳未満のスギ花粉症またはダニアレルギーの方で、用法・用量を守り、毎日服用可能であり、少なくとも1か月に一度は受診が可能な方となります。

※以下の条件に当てはまる方は、治療を受けることができないことがありますので、ご了承ください。
– 65歳以上の方
– 5歳未満のお子様
– 妊娠中・授乳中の方、または数年以内に妊娠を希望される方
– 重症の口腔アレルギーの方
– 喘息や気管支喘息の症状が強く出ている方
– 抜歯後など口腔内に傷や炎症がある方
– ステロイド、抗がん剤、β阻害薬など特定の薬を使用されている方
上記以外にも、治療が適応できない場合がありますので、医師とご相談ください。

副作用について

主な副作用は下記となります
・頭痛
・口内炎・口の中の腫れ
・のどのかゆみ
・耳のかゆみ
※喘息発作や消化器症状、アナフィラキシーショック（息苦しさ）などの重症の副作用が起きることも否定できません。
これらの症状が起きた場合は早急に医療機関を受診してください。

治療費について

＜治療開始前に＞

この治療を受けるには、まずはアレルギー検査にて、スギ花粉症またはダニアレルギーと診断することが必要です。アレルギー検査は保険適応で、自己負担（３割の場合）は凡そ５０００円程度となります。

＜治療開始後＞

毎月かかる費用は、保険適応（３割負担の場合）にてお薬の値段はシダキュア（スギ花粉症）１３００円程度、ミティキュア（ダニアレルギー）１７００円程度となります。
上記の薬剤費以外に、診察料・調剤料（処方料）やアレルギー加算など、必要な費用がかかり毎回凡そ３０００円程度（３割負担の場合）となります。
お子様の場合は、子供医療費の助成をうけることができます。

治療の手順

　手順１：問診と検査

治療の対象となるかどうかは、診察を行った上でアレルギー検査を行い、スギ花粉症またはダニアレルギーと診断する必要があります。

手順２：治療説明

治療のスケジュールや服用方法、起こりうる副作用について説明します。その上で、治療を受ける意思を確認します。

手順３：投与開始

初回の投与はクリニックで行います。投与後は、30分間副作用がないかをクリニックで観察します。問題がなければ、翌日からは自宅で毎日服用し、1週間後に再受診していただきます。

手順4：治療継続①（投与開始1週間後）

来院時に患者さんの体調や投与部位の状態、副作用の有無を確認し、治療を続けても良いかどうかを判断します。問題がなければ、その後は月1回通院していただきます。

手順５：治療継続②（月1回通院）

来院時に患者さんの体調や投与部位の状態、副作用の有無を確認し、必要に応じてアレルギー治療薬で症状を軽減することがあります。約2年間継続し、効果がある場合には更に1～2年継続することをお勧めします。効果がない場合は、舌下免疫療法に適さないと判断し、治療を終了させていただきます。